Noblesse Oblige  ~ノブレス・オブリージュ~

いつも喜んでいなさい。絶えず祈りなさい。すべての事について、感謝しなさい テサロニケ人への第一の手紙5章16節~18節

夜の光 坂本司

夜の光 (新潮文庫)
夜の光 (新潮文庫)
新潮社

いつものような「日常の謎」は影を潜めむしろ「青春時代の友情」の方が
重きを置かれた作品。
4人の高校生のスパイ…ジョー・ブッチ・ギイ・ゲージ。
もちろん普通の日本の高校生なのだけれどなんとなくで集まった天文部の
メンバーは本名で呼び合うことなくコードネームで呼び合うことに。
4人はそれぞれに「敵」がいて普段は普通の高校生を装っているが
気持手的にはスパイだと思っている。
敵とは…「女だから」「男だから」「長男だから」「長女だから」そんな風に
「常識」でがんじがらめにした挙句行動を束縛しようとする「両親」!!
生き延びる為に、逃げきる為に戦う事を心に秘めて…
1人は実家から遠く離れた大学に、一人は高校生の内に調理師の免許を取って
実家から離れ、一人は移動養蜂家になって実家を離れる。


そんな「戦い方」があったのか…と思った。
私も敵=実家 だったのに、結局結婚を理由に実家から離れるまで実行しなかった。
今、夫という「同士」が居てくれるからこそ敵と向かい合っても傷つくことなく
堂々と戦える。
もし、この「同士」を得ていなかったら今こんな風に呑気にブログなんて
書いている暇も無かったと思う。
本作の4人にとって互いの存在が私の夫と同じぐらい心の支えであり、
生きていける指針になっている。
親とうまく行っていない高校生ぐらいの子にお勧め。


因みにブッチが師とする養蜂家の「山本さん」は先に読んだ
『ホテルジューシー』で酔っ払ってダメダメだった山本さんと
同一人物だと思う。
この人の作品ってさりげなく他の本に出てくる登場人物とリンクしている
という仕掛けがあって、ぼ~~~っと読むと気がつかないんだろうな。