動物園の鳥 坂木司
- 動物園の鳥 (創元推理文庫)
- 東京創元社
- 本
ひきこもり探偵第3弾にして最終巻。
この作家さんは「LGBT」といった「人と違ってもいい」という事と
『和菓子のアン』で発揮しているように「料理」について書く
2本立てで成り立っている人。
今回もいかんなく発揮。
p118
「違って当たり前なんだな、っていう事。
だって同じ人間はいないんだからさ、違う事を考えるのが当然なんだよ。
それを無理やり同じにしようとするから、いじめとか仲間外れが起こるん
だよな。違うなら違うで、話あって近寄ればいいだけの事さ」
ところで数年前に中高の時の同級生と久しぶりに会った時に開口一番
問い詰めるような口調で「あんたの子供、どこの大学に行ったん?」と
聞かれたのち、
そいつを含めその場に居た全員と「断絶」することになったのですが
結局こういう事だったのか。
p153
「ってゆうかお前ら今何してんだ?」
(中略)
「大体、まず質問に答えろよ。お前は今、何やって暮らしているんだ?」
「お前は?」
その質問に鳥井は質問で返した。
「わかってんだろ。××に勤めてんだよ。で。お前は?」
妙なしつこさで谷越は鳥井の職業を知りたがる。今、何をしているのか。
谷越にとってそれはさほど重要な事柄なのだろうか。その答えは、鳥井が
あっさりと指摘してみせた。
「教えない」
「はあ?」
「教えないって、って言ったんだよ。聞こえねえのか」
「教えない、ってお前、それでも社会人か?」
(中略)
「肩書で俺を上か下か計って、
それから態度を決められるのは鬱陶しいんだよ」
そうか。谷越の質問は、まず自分のスタンを決める布石だったんだ。
僕は今更ながら、教室での彼を思い出す。あの時、彼より「上」な人物は
鳥井だけだったのだろう。他のみんなに優しかったのは彼らを「下」に
見ていたからなのだ。
あら、やだ。私、あの時「あの女」に「嫉妬」されていたわけだ。
他のメンバーには「優しかった」のは「大したことない、
自分を脅かす存在ではない」と思っていたってことね。
一方的にライバル視されていたってことね。
そう言えばホント色々小さい事に突っかかって来ていたっけ。
友だち辞めて、良かった。
言いたくない事を無理やり口にせず「言いたくない」と
一言キッパリという。それで去っていくのはそれだけの人間。
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