Noblesse Oblige  ~ノブレス・オブリージュ~

いつも喜んでいなさい。絶えず祈りなさい。すべての事について、感謝しなさい テサロニケ人への第一の手紙5章16節~18節

ヒトリコ 額賀澪(ぬかが みお)

ヒトリコ (小学館文庫)
ヒトリコ (小学館文庫)
小学館

学生時代から大人の今まで「ハブられる」経験をした事のある人は何人いるのかな?
もしくは今まで全然ハブられずに済んでいる人とどちらの割合が多いのだろう?


本作、小学校5年生の時に担任教師のお気に入り君が転校時に置いて行った「金魚」が
ある日死んでいたことからイヤイヤ「生き物係」として世話をしていた「日都子(ひとこ)」が疑いをかけられたことから「いじめ・ハブ」が始まる。


「ひとこ、じゃなくてヒトリコ」
友達だと思っていたけれどそうじゃなかった。むしろ本当に友達だったのか?
そう思った途端表情豊かな少女は能面の様な無表情な人間に「変わった」。


けれど日都子は強かった。登校拒否にもならずむしろ自分の方から


「『関わらなくてもいい人とは、関わりたくない』」と言い切って拒絶


「みんな?私はその『みんな』に入っていないから知らない」



こびへつらって「友達になろう」とせずにむしろ自分の方からシャッターを下ろす潔さ。
自分の学生時代を思い出していかに「お友達」になり「ハブられるのを避ける行動」を
とっていたのかを思い出して赤面する。
その空間に居合わせ、ただ単に同じ時間を過ごした人間を友達というのなら、
そんな表面的な友達100人より本当に自分の恥部をさらけ出すことに抵抗を感じずに済む人を「真の友達」というのではないのだろうか?


直ぐには「真の友達」なんて見つからない。
けれど、確かにいる。
心から自分を裏切らない・信用できる人はいつの日にかちゃんと現れる!
私にとって「夫」がそうだし短大時代の彼女がまさにそうだと思う。
100人のその場限りの「知人」よりもこの2人が居るだけでどれほど心強く感じられることか。


中学生、高校生で「友人」に悩んでいる子がいたらぜひ、読んで欲しい。
そして「小中高の 友達 が かけがえのない存在」だなんて
「幻想」でしかない事に気がついて欲しい。
クラスが同じ・名前が近い・家が近いだけで知り合った関係よりも、
深く語り合ってその人の本質に触れてこそ「付き合いたい」と思う人こそ「友人」で
あり「大切な人」だと思う。
無理して付き合わなくても一人の方が気楽に行動できる。そのことを知って欲しい。
中高生に特におすすめの一冊



※不思議ですが夫の出会いの日、彼女との出会いの日、全部記憶にあります。
なんていうか二人にだけ光が当たっている感じ。
存在がクローズアップして浮き上がったことを鮮明に覚えています。