Noblesse Oblige  ~ノブレス・オブリージュ~

いつも喜んでいなさい。絶えず祈りなさい。すべての事について、感謝しなさい テサロニケ人への第一の手紙5章16節~18節

親の介護をしないとダメですか? 吉田潮

親の介護をしないとダメですか?
親の介護をしないとダメですか?
ベストセラーズ

これも父の生前ぎりぎりに借りていた本


著者のお父さんは65歳まで働き(外大を出て新聞記者だった)退職後「あれ?」という間に(67歳辺りから)メールの文章がまともに打てなくなった
認知症を発症し要支援1の認定後、あれよあれよという間にこの本が終わるころには
めでたく要介護4のお墨付きになり自宅介護者憧れの(毒)「特別養護老人ホーム」にすんなり入所している
(本書最終 2019年の時点で78歳。ここまで認知が進むのか!と驚愕!!)


そこに「お父さんがかわいそう」病を発症するお母さん、父にあれほどまで溺愛されているのに距離をとって冷静に接している姉、そして父には正直「いなかった人」認定されているにも関わらず定期的にホームに通って世話をする次女の著者


著者のお父さんの言動が父とオーバーラップし、「これは認知症独特の行動だったのか…」と今更ながらに「もう少し優しく接しなかった自分」に反省してしまうのだがもう父は骨になっているので終わったこととして「読み物」として処理した


ところでホームに入所しているのにも関わらず月に一回自宅に帰して世話をしようとする
お母さんの「ゆがんだ行為」もある意味「夫婦あるある」なんだなあ…と
お父さんの「糞尿垂れ流し」の世話で心身ともにやられるのにも関わらずそれでも世話をしようとする「夫婦愛SMプレイ」を見せられる気分


まあね、著者もある意味「マスゴミ」の末端に属しているから頻繁に父のもとに通うのも「取材」「飯のネタ」になるからこそ「冷静に対処」できたもの
一般人がまともに自宅介護して「正気」でいられるはずがない!!!
めでたくこうやって一冊の本になって出版して印税が入る…という背景がなければ無理!


お母さんの「介護日記」「メモ」も洩れなく活用しているけれど所詮夫婦のことだから
どこまで本当のことを書いていて、本音を書いているかわかったもんじゃない!
そりゃ、そ~でしょ!
介護で疲れ切っているのに冷静に文章に書き残す体力なんて75歳超えてあるわけない
(文中にも母親自身が『膝が痛くてお父さんの世話ができない』という描写あり)


本当はもっと自分の夫に対して「殺意」が芽生えたりもっと暴力的な気持ちになっていたとしてもそれを他人様に赤裸々に教える義務もない
実情はそんなものだと思う
事実・真実は介護者各自の胸の中に秘めている…それが自宅介護の現状だと私は思う