Noblesse Oblige  ~ノブレス・オブリージュ~

いつも喜んでいなさい。絶えず祈りなさい。すべての事について、感謝しなさい テサロニケ人への第一の手紙5章16節~18節

舞妓さんと怪盗大旦那 範乃秋晴

舞妓さんと怪盗大旦那 (メディアワークス文庫)
舞妓さんと怪盗大旦那 (メディアワークス文庫)
KADOKAWA/アスキー・メディアワークス
2014-10-25

いつものラノベの様に京都を舞台に似たり寄ったりのぬるい展開…ぐらいにしか
思わずに借りたけど、これが結構グロい内容だった…
個人的にはR-12~R-15指定したいぐらい。


まず、序章でいきなり警察主導の冤罪のでっち上げ描写。
これ最近長期投獄されていた二人の内、女性の方が無事「無罪」を勝ち取った後だけに、妙に生生しく感じた。
「なにこれ?一つ昔の警察小説??」ってぐらい今までのラノベとの違和感に戸惑う。「これ、ラノベだよね??」


さて、圧倒的な導入部分の違和感を放置してあくまでもラノベ設定のヒロイン。
京都を舞台にと言うことで究極のアイコン、舞妓さん。
が、このヒロイン「超天然」と言うにはあまりにも…
むしろ「知的障害を持つ舞妓さん」レベル…滝汗
そして福井弁を駆使するのでさらに「福井の田舎の人ってこんなに知的レベルが…」
と舞妓さんにも福井の人にも偏見もしくは誤解を生みまくる設定。
京言葉と福井弁を対比することにより「差」を実感させる仕掛けなんでしょうが
あまりにも知的レベルが低すぎるゆえに…


そして話が進むにつれて「事件」が生じるのですがこれがまたグロい。
読んでいて昔読んだ柴田よしきさんの『RIKOシリーズ』を始めて読んだような
衝撃!

RIKO―女神(ヴィーナス)の永遠 (角川文庫)
RIKO―女神(ヴィーナス)の永遠 (角川文庫)
角川書店


これも警察を舞台にした話ですが、ま~~性描写と言うかなんというかがすごかった。
レイプもありますし。
(警察官の主人公もしくは別の婦警が襲われるというのもなんというか…でした)


まあ、一昔のカッパノベルズや光文社文庫だとこういったハードボイルド?系
がたくさん出版されていてセットでエロ&グロ表現で満ち満ちていましたねえ…
しかし、草食系男子の出現でこういった表現はなりをひそめて行った気がします。
単に自分が借りなくなったので読まなくなっただけかも知れませんが。


そう言った崩れた感じのハードボイルドを書いていた人が書けば売れるの世界である
ラノベ界に挑戦した感じがしないでもない本書。
なので、ものすごく設定バランスが悪く感じます。
重すぎる背景と軽すぎる人物構成が。
多分、ほとんどのラノベ作家さんだと実体験、外部との接触が無い人が多いのか、
重い部分は「さらっと」スルー(と言うより書けない)描写する癖があるので
今回の重い部分ももっと当たり障りなく処理(と言うより書けない)して、
主人公の「軽さ」だけに焦点を当てた書き方を(というよりコピペするしか能力が無い)
するはずだと思うんですが。
こちらはわざとこんな重い描写をしつこく書く手法で新境地を目指したのでしょうか?


さて、本書おかしな部分があります。
p244「一花は襟付きブラウスとフレアースカートに着替えた」とあるのに
p258「振り袖をめくりあげられて、一花の白い肌が露わになった」とあります。
洋服着ていたのに、なぜ振り袖?
振り袖を着せられた描写が無いのに。