Noblesse Oblige  ~ノブレス・オブリージュ~

いつも喜んでいなさい。絶えず祈りなさい。すべての事について、感謝しなさい テサロニケ人への第一の手紙5章16節~18節

トマシーナ ポール・ギャリコ


トマシーナ (創元推理文庫)
トマシーナ (創元推理文庫)
著者:ポール・ギャリコ
出版社:東京創元社
カテゴリー:本

人間の医者になりたかったのに父親から稼業を継ぐように強制されたが為、動物嫌いの獣医。
果ては、母親が死んで愛情の代償として可愛がっていた娘の愛猫をあっさり安楽死させてしまう。
あまりの非情さに父親を憎み、はかなみ、そして口がきけなくなった挙句生きる望みを失って死が娘に忍び寄る…
自分の望みをかなえてくれなかった「神」を心から崇拝、信頼することができなかった父親。
自分のやったことを悔い改め、改心する時に奇跡は起こる…


てな感じで、猫が登場しつつもしっかり「神とは?」とえらく重たいテーマがどっかりとベースにある割に訳が良いのか原作がしっかりしているのか鼻につくことなく読める。


この獣医にとって患畜の存在はp21

さまざまな病状を自分に訴えに来た患者たちが並んでおり、自分はその病魔と闘って苦しみを取り除いてやっていたはずなのに。

ところが現実はと言えば、順番を待っているのは、クンクン、ミャーミャー、キャンキャン甘ったれた声で鳴く、わがまま放題に育てられたちっぽけなペットたち。

甘えられていい気分になりたいために、あるいは自らの子供を産み育てるのが面倒だったり、親となるには自己中心過ぎたりする人間が、行き場のない愛情のはけ口として飼っているに過ぎない存在。




そして真の親の姿とはp251

そういった際立った悲しみや苦難を乗り越えなければならん時こそ、父親と母親のどちらもが必要となるのだ。父親の強さ、母親の優しさと女らしい思いやり。その両方が無くてはならない助けとなり、見事に結びついて防波堤となってやってこそ、子どもを襲う嵐を撃退できるのだよ

シングルにはイタイお言葉…
で、結局トマシーナは「誤診」だったの?と言う謎だけが残った…



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