Noblesse Oblige  ~ノブレス・オブリージュ~

いつも喜んでいなさい。絶えず祈りなさい。すべての事について、感謝しなさい テサロニケ人への第一の手紙5章16節~18節

もしも徳川家康が総理大臣になったら 眞邊明人

ビジネス小説 もしも徳川家康が総理大臣になったら
ビジネス小説 もしも徳川家康が総理大臣になったら
サンマーク出版

タイムリーな題材で予約も1年程待ってやっと読む事が出来たが、
読むたびに寝落ち…を繰り返した本=お察し!


まず「なんちゃって小説家(きどり)」の文章あるあるの
「~だった」「~た」の多用。
これでもう文章が平たんになり過ぎ。リズム感無し!
また一応「ビジネス小説」ジャンルという事も影響しているのか
妙に説明モードな文章。これも退屈に輪をかける原因。


一流の小説家の文章が留まる事を知らない川の流れだとしたら、
(一気にその世界観に引き込まれ飽きることなく読了できる)
この人の文章は川のいたるところに岩があってそこにぶつかっては転覆、
やっと持ち直しては転覆…の繰り返しの為、読むのが苦痛


著者の経歴を見ると「脚本家/演出家」とあるので妙に納得!
確かに「ト書き」を書いているノリだと「~た」で書いても
後は俳優が色を付けて演技すればいいだけのこと。
ただそれでは「小説」としては読めないので色々つけたしたら
今度は「説明文」になりましたとさ、というところか。




そして今回のメインイベント!(=このブログの特徴である相手のミスを
ネチネチ指摘する。まかり間違っても読んでいて楽しい平和なブログではない)


本書のクライマックスであろう場面p372から適時抜粋
まず本作ヒロイン(?)西村はp66

一流大学の剣道部主将・インターハイ優勝経験者のアナウンサー30歳


入社当初は文武両道の花形だったのが今ではすっかりやさぐれモード
ひょんなことからAIで復活した坂本龍馬をインタビューする羽目になり
その後も何かと気になる人に発展!



p380

「坂本さんは北辰一刀流の免許皆伝だったそうですが、吉田さん

(=p105 現代の官僚である。吉田拓也。35歳。入省13年目の中堅である。灘校、東大を首席で卒業した筋金入りのエリートである。)

も剣道に於いては大学のインターハイで3位に入った腕前。


p388

理沙は幼い頃から母方の祖父の教えで剣道を嗜んでいたが、それが北辰一刀流という流派であるという意識は薄かった。中学高校大学と部活で剣道に集中するようになるとさらに流派への意識は薄れ、今の今まで竜馬と同じ流派であることに気づかなかった。



p388

ガラン。

吉田が手に持っていた木刀を理沙の足元に投げた。




p388

理沙は木刀を手に取り、青眼(せいがん)に構え

※青眼の構え=剣道の基本的な構え方である「中段の構え」の一種。

(青眼は剣先を相手の左目に付けることを指す、日本刀を想定した剣先の付け方)

と、本文に注釈有り


p389

理沙は吉田との間合いをはかる。身長のある吉田が上段に構えると、一層の迫力がある。腕の長さから考えても上段から振り下ろされる一撃をかわす、もしくは払う、受け止めるなどの余裕はない。理沙が勝てるとするならば一手だけだ。その一手が外れればそこで勝負は終る。



p397

吉田が咆哮一声、一気に理沙の間合いに入り、

思い切り傘を振り下ろした。

(中略)

吉田の傘がまるでスローモーションのように落ちてくる。

同時に理沙は

自分の後ろに引いた右脚のふくらはぎ

に全エネルギーを籠め、蹴り出した。

同時に左手を離し、右手を思い切り突き出す。

まるでフェンシングのように。




長い引用をしましたが、さて何人の方がこのブログに付いてこれたでしょうか?笑
いや、もう、これは私の自己満なので飛ばしてもらってもいいですよ。



この最後の文章を読んで「はて?一体どういう状況なのかさぱ~り」状態になった私。
地元の由緒正しい剣道教室に通っていた夫に質問。


私「剣道の足さばきって右前?左前?」
夫「右前」
「ではこの『自分の後ろに引いた右脚のふくらはぎ』っておかしい?」
夫「おかしい」


私「青眼の構えっていうの?」
夫「言わない。少なくともワシは習っていない」
本文は「青眼」という字を使っていましたが「正眼」じゃないんですかね?
※調べましたが流派によって違うらしいです。それ以前に現代剣道には
「流派」という概念そのものが既にない


そして右脚を引いた状態で右腕だけを突き出すってどうよ?となっていたら
次ページにご丁寧にイラストがありました。



この体勢で勢いと力のある打突ができるとはとても思えない
自分より大きな男が壁に吹っ飛ぶってどうよ?!
もはや「剣道」として形が全く無い状態??


因みに書かれた体勢で打ち込めるかな?と聞いたら
「上段に構えている人間相手にそんな面倒な事をやっていたら
直ぐに何をしているのかばれて打ち込まれると思うから無理」とのこと。


上段って要は森でクマさんに出会った時に
後ろ足で立って前足が既に頭の上に振りかぶっている状態。
そんないつでも攻撃できますよ状態の相手に、ねえ…


坂本龍馬=北辰一刀流のネタをどうしても使いたかったんだろうなあ…
「青眼の構え」って書くと妙にかっこいいもんね。


そもそも今の剣道は「~流」なんて概念も無いのにいくらインターハイで
優勝経験があっても練習もしていないのにいきなりその技出せる?
現実的にそんな強豪校に居れば「勝つための剣道」をしているから「~流」
といった「邪道」はとっくに矯正されているはず。
と突っ込みどころ満載!


あと、東大で3位!!!!!!へえええええええ(呆)
しかも大学なら「インターハイ」ではなく「インカレ」じゃないんですか??


なぜここまでネチネチ揚げ足を撮りまくっているかと言うと
後付けに編集協力「鴎来堂」の名前があるから

地味にスゴイ! 校閲ガール・河野悦子 DVD-BOX
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バップ
DVD

このドラマの校閲も「鴎来堂」が担当していて一冊の本を作り上げるのに
ここまでチェックするのかあ…と感心していただけに何この手抜き!と
イラっとしたので。


まあ現代剣道と北辰一刀流は違うから「これは成り立つ」と言われたら
それまでなんですけどね。
ただ、この本を読んで丸っと「感動した」とか「こんな政治をして欲しい」と
手放しで評価を下す人は本文中にもあるように丸っとネットの情報に踊らされて
根拠もない・裏付けもない情報を妄信しそうな人が多いんじゃないのかな?
そういう人の方が何かにつけて声高にわめくんだけどね。(超迷惑)
読んでいて「おや?」と引っかかって自分で調べる、そんな癖をつけておかないと
偽情報に騙される危険性が大!


長々とお付き合いくださいましてありがとうございました