Noblesse Oblige  ~ノブレス・オブリージュ~

いつも喜んでいなさい。絶えず祈りなさい。すべての事について、感謝しなさい テサロニケ人への第一の手紙5章16節~18節

和菓子のアン 坂木司

和菓子のアン (光文社文庫)
和菓子のアン (光文社文庫)
光文社
Digital Ebook Purchas

先日読んだ『女子的生活』

女子的生活 (新潮文庫)
女子的生活 (新潮文庫)
新潮社

が面白かったのでこの作家さんを集中的に読むことにしたので図書館にあるだけ
借りてきました。
人気があるのね…
ほとんどが貸し出し中で「アン」シリーズの最新刊なんて100人近く予約待ち…滝汗


デパート内の和菓子屋にバイトを始めた梅本杏子。(きょうこの「杏」をアンと読む)
色白ぽっちゃりのLサイズ体型の意味も相まって…大福を連想する…
お店に訪れるお客さんやその他もろもろのちょっとした謎解きが書かれていて
元々和菓子自身にネーミングは「イメージと言葉遊び。そしてべたなギャグセンス」が
必要!って知らなかったよ…汗
「見立て」であり「日本古来の冠婚葬祭・行事の具体化」でもあり。
奥が深いねえ…和菓子の世界は。


『1年に一度のデート』では
ある年配の女性がなぜか毎月同じ色合わせの服で来店される。
それは「黄色と白」そして「緑と白」。
お客様は毎回上生菓子2つと『松風』を一つお買い求めになる。
そして8月13日。いつもの様に上生菓子3つと『松風』を…という注文に
店長が待ったをかける。「今日は『松風』を買う必要はないかと…」
というやり取りの後、お客様は納得して『松風』を買わずに帰られる。
そして謎解き
彼女の着ている服の組み合わせの色は和菓子の世界では「不祝儀」の色。
『松風』の意味は…p120

語源は

「松風の音ばかりで浦(裏)がさびしい」という風情から来ている」

松風ばかりで裏が寂しい。私はそれを端折って発音してみた。

「まつばかりで、 さびしい」

待つばかりで、寂しい。

それに気づいた瞬間、杉山様の優しそうな笑顔が頭の中に浮かんだ。

会いたいと思う気持ち。

帰ってきて欲しいと願う気持ち。

七夕と同じようでいて、決定的に違うこの気持ち。

杉山様はお仏壇にお菓子を上げることによって、大切な人に気持ちを伝えていたのだ。

待つばかりで寂しいわ。寂しいわ。寂しいわ。



不覚にもこの描写で涙が出ました。
いつもおいしそうなお弁当をアップされている方と重なって…