切れない糸 坂木司
- 切れない糸 (創元推理文庫)
- 東京創元社
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『和菓子のアン』が2010年発行としたらこちらは2005年。
ほどほどに活気のある商店街の中にある個人クリーニング屋さんの話。
実家のお父さんが急死して店を継ぐことに。
個人商店だから「御用聞き」に回って洗濯物を集めているうちに
いやでも個人情報を知ることになる…(そう言われたら駄々洩れだよね…滝汗)
その中で謎を友人に話すうちに解決…と「アンちゃん」と似た路線
折り返しにあらすじとして「アライクリーニング店」とあり「おや?」と引っかかる。
「そういえばアンちゃんのお母さんもクリーニング屋にパートに行っていたなあ…
しかも息子が店を継ぐことになって良かったなあ…という事も数行書いてあったなあ…」と思っていたら
p16
松竹梅トリオ。俺は彼女たちの事をそう呼んでいる。
だって松岡、竹田、梅本だぜ。
梅本…アンちゃんの苗字「梅本」だったよなあ…
因みに恐怖の三人目、梅本のおばちゃんはとにかく食べることが大好きで、しじゅうおやつを人にあげまくっている。(中略)梅本さんちの家族は毎食その攻撃にさらされているためか揃ってふっくらしている。
アンちゃん…Lサイズ。ふっくら大福もちのような女の子…
どうやらこの作者さんの小説はご近所さんでつながっている設定な訳ね。
アンちゃんも本作の主人公もそろって下町育ちの人情派!という共通点か。
前回引用したのと相反するかもしれないけどp288
そう、「今」は続かない。
それは親父が死んだことによって、俺が唯一学んだことだ。
終わらないことは無いし、いなくならない人はいない。
でも、だからっていつ訪れるかわからない終わりを考えて、
くよくよ暮らすのはまっぴらごめんだ。
だから、俺は今を楽しもうと思う。
今、起こっている事。今、目の前に居る人。
それをきちんと味わっておけば、突然終わりが来ても後悔せずに済むかもしれない。
ま、貧乏性って言えばそれまでかもしれないけどさ。
一般小説とラノベの違いって文章の書き方・読みやすさ以前に
こうやって作者が読者に響く一行を書いているかどうかなんだと思う。
※アンちゃんシリーズより先に書かれているので文章そのものは若干読みずらさが
ありますが、それでもこの人の作風は「安心感がある・ほのぼのしている・誰も傷つけない」って言うのは大きいと思う
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