となり町戦争 三崎亜記
- となり町戦争 (集英社文庫)
- 集英社
- 本
なんとも奇妙な小説だった。
SF?と思わなくもなく。
いきなり広報誌に「明日から隣り町と戦争します」とだけ
書いてあるのに、「え?なにこれ?」とか
「戦争するんなら、食料はどうする?」とかその他もろもろ
の疑問も持たず誰に聞くでもなく淡々とした生活を送る…
その「無関心さ」こそが現代にある「問題点」の一つを揶揄しているかのように
感じ不気味さを醸し出す。
結局その「戦争」は「死者」と言う形で犠牲者も出ているのだが
一体どのような「戦争」が行われているのかは不明。
しかもその戦争は「街の発展の為」に行われている?とそこも
イマイチよくわからない設定。
そして主人公はある女性に好意を持つものの、ものすごい形で報われない。
とはいえ、過去の日本においても戦国時代、敵に自分の娘や妹などを
嫁がせて婚姻関係を結んでいたし、現代の政治家の家系を見ると
「え?この人とこの人って親戚?」と言うことがわかると
みんなどこかで「つながっている」と言う事実。
それが素直な感情から生じたものか陰謀もしくは戦略によるものかは
ここまで来たら単なる一般市民の知る由も無い。
自分の無自覚な状態でいつの間にか「戦犯」「加害者」になっている…と
考えれば考えるほどブキミな内容。
抽象的だけどなんとなくその実態がつかめそうでつかめないという
ジレンマが生じる一冊だった。
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